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【第1部】 第33話 初デート①

last update Huling Na-update: 2025-07-26 18:01:22

「ねえ、流華、デートしよ!」

 ヘンリーがとびきりの笑顔を向けながら、私の手を取った。

 いつもの休日。

 さて今日はどうしようかな、と考えながら廊下を歩いていた私の目の前に、笑顔のヘンリーが現れた。

 太陽のような眩しい笑顔を向けられ、私もつられ笑い返す。

 確かに今日は休日。

 しかも天気も良く、快晴ときた。

 ちらりと目を外へ向けると、太陽が燦燦と辺りを照らしていた。

 デート日和だと言われれば……そうだけど。

「どうしたの? 急に。どっか行きたいところでもあるの?」

「うん、遊園地行きたい! 恋人同士の定番なんでしょ?」

 ヘンリーは私に純粋無垢な笑顔を向けてくる。

 いったい誰から聞いたのか、どうせ学校のクラスメート達にでも教えてもらったのだろう。

 遊園地か……そう言えばいつ振りだろう。

 確かにヘンリーと一緒に行ったら楽しそうだけど……。どこか、不安を感じてしまう自分がいるのも否めない。

 しかし、ヘンリーとのデートか……ちょっと行ってみたいかも。

 私は、ニコッと笑顔を返した。

「いいね、遊園地。行こっか」

「うんっ」

 すごく嬉しそうに笑い、はしゃぐヘンリー。

 そんな姿を見ていると、こちらも幸せな気分になってくる。

「じゃあ、少し待っててくれる? デートなんだから、お洒落してこなくちゃ」

 これは、ヘンリーと両想いになって初めてのデート。

 せっかくだから楽しもう。

 そう思った私は、ウキウキとデートの準備を始めた。

「……って、何でこうなるの?」

 私は怒りと呆れのないまぜになった複雑な表情を浮かべ、皆を見つめる。

 遊園地の入口前には、いつものメンバーが集合していた。

 私とヘンリーだけじゃない。

 龍とシャーロットとアルバート、そして貴子までもがその場にいた。

 なんでこうなったかというと……。

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